スタッフの声:横山靖弘
訪問診療を選んだきっかけ
高輪会の創立者である深井前理事長が大学のクラブのOBで、1年生の頃からお世話になっていたこともあり高輪会に入局しました。入局3年目に高輪会で訪問診療を始めることになり、担当に指名されたんです。
3年目ですから実質2年しか経験を積んでいないですし、正直なところ最初の1年は本当にイヤイヤやっている状態でした。でもある患者様の入れ歯を作った時です。新製義歯にフィットチェッカーをいれて噛むと痛くないとおっしゃるんです。そこで私は光が見えたんですね。つまり、この痛くない状態で入れ歯を作り直せば、痛くない入れ歯ができると。実際、その型を持ち帰って入れ歯を作り直したら、「痛くない」と言ってもらえて。それから訪問歯科に対する意識が180度変わり、大好きな職場になり、現在の咬座印象の原点となりました。
指導医としての役割
入局する先生は、訪問診療に初めて携わる人などいろいろですから、高輪会のカラーに沿って、高輪会の人間としてやってもらいたいことを教えたり、技術的なアシストをしたりします。
高輪会のカラー、独自性とは、訪問歯科であるということです。それもご自身で歯科医院に行けない、寝たきり、または寝たきりに準ずる方が対象です。つまりその方が出会う「最後の歯科医師」なのでベストをつくしてほしいと言っています。一期一会ですから。
またインプラントのような最先端医療に対して、訪問歯科は入れ歯の新製、修理、調整などが中心です。私は訪問歯科を神聖な職場でライフワークだと思っていますが、歯医者の世界にはいまだに、それは一生の仕事じゃないという感覚があるんです。なので意識を変えてもらうことも大切です。
ですが、今卒業してくる若い先生たちは、訪問歯科の重要なテーマである摂食・嚥下障害について大学で学んでいるので、訪問歯科にも非常に興味津々で、ちょっと意識が変わってきているように感じます。
診療の際に心掛けていること
一番気を付けていることは、患者様は人生の先輩なので赤ちゃん言葉を使わないということです。年を取るということは、確かに赤ちゃんに戻っていくような面もあります。先生によっては「ア~ンして」などと言ってしまう人もいるのですが、人生の先輩に対して尊厳を守ることは大切だと思います。
訪問診療という仕事の楽しみや喜び
私は技術者なので、「おいしく食べれたよ」とか「ちゃんと噛めたよ」と言っていただけるとうれしいですね。個人的にはご自宅に伺うのが好きなのですが、個人のお宅に伺うと、それぞれの患者様の暮らしぶりがうかがえて楽しいですよ。
高輪会の魅力
理事長の方針が「患者様に喜んでもらうことが肝心」というものなので、売り上げを重視したような診療をしないことですね。日本老年歯科医学会という学会への発表も積極的に行っています。
また月に1回、大学教授による講習会が受けられるほか、インプラントの教育にも非常に力を入れていて、年に1回、インプラントの講習会も行っています。
どんな歯科医師に入局してほしいか
訪問歯科では高輪会が最先端だと思います。なので大学できちんと摂食・嚥下障害などの教育を受けた若い先生たちに入局してもらって、どんどん訪問歯科をやってもらいたいと思います。