創立者のことば
私は高校生の頃から事業家になりたかったので、日本大学歯学部に入学したものの、入れ歯作りの授業などは職業訓練学校のようで、まるで興味を持てなかったんです。それが4年生の時、小児歯科の深田英明教授に出会って180度変わりました。深田先生は、子供の成長に沿って体の一部として歯を管理していくことで、理想的な噛み合わせを作っていくという考え方で、非常に感銘を受けたんです。
大学卒業後は、教授のプライベートオフィスに勤務しながら、並行して高輪会を開業しました。その後は、日本ではまだほとんど知られていなかったインプラントについて海外で学んだり、完全自費診療による究極の審美を追求したり。いろいろな歯科診療に取り組んできました。
そうして開業から15年程経った時、診療所に来られない患者様がいらっしゃることを知ったんです。であれば、こちらから行くことはできないだろうかと、ちょうどその頃開発された往診車を使って、組織的に訪問することを思いつきました。
当時の歯科の往診というのは、外来が終わった後などに患者様のお宅に寄って応急処置を行う程度のものでした。そこで私たちはより専門的な治療を行ったところ、訪問先で時には涙を流して喜んでいただけて、非常に良い経験になりました。一般診療では、怖がられたり嫌がられたりすることはあっても、泣いて喜ばれることなんてまずありませんからね(笑)。
小さな診療所から始めて、現在は20以上のグループ診療所がありますが、医療法人の存在価値とは何だろうと考えた時に、やはり社会貢献なんですよね。もちろん医療ですから、目の前の患者様と対峙することも大切ですが、一方でドクターやスタッフが育っていける場の提供の重要性も常に感じています。
そのためには自主性を尊重することも大切です。ある程度の自由さが歯科医師たちを育てていると同時に、彼らも力を発揮できると感じます。
これからも、レベルの高い専門の訪問歯科のご提供を極めていきたいと思います。また訪問診療についてお話ができる歯科衛生士を育てて、講演活動などを通した、訪問歯科の普及にも力を入れていきたいと思っています。
1979年 日本大学歯学部卒
米国インディアナ大学名誉教授
米国インディアナ大学医学部解剖学 顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医
マニラセントラル大学客員教授
ナショナルユニバーシティ大学客員教授
日本口腔インプラント学会評議員・専門医
アジア口腔インプラント学会 国際事務局長
アジア口腔インプラント学会 日本支部 会長
バイオインテグレーション学会 理事
一般財団法人野口英世医学研究所 歯科部会 理事長
2015年8月27日 逝去
『もう悩まない 歯は無痛でよみがえる』(出版文化社)
『最新式インプラント完全ガイド』(現代書林)
『理想の「訪問歯科」を求めて』(出版文化社)
『寝たきりでも歯科診療を諦めないで』(みずほ出版新社)